歌集『橋の上で』
ただ眠れ その純白の魂よ 泥より出づるこの身の内に
穢れたる生き延びし命さながらに空より落つる雨の哮りよ
足下を流るる河の黒き闇 映る光の招くが如く
魂を吸い寄せる音 その流れ いっそ呑まれて沈むが望み
橋の上 闇へと続く外灯の向こうにあるは彼岸かリアルか
今ならばとうに知ったる魂の行方知らずが幸いなりと
片われと信じ続ける愚かさと引き換えの今 欠けたる命
さようなら その決別に殺された命尊しただ美しく
さようなら 墓を建てたり我が半身朽ちて消えよと今宵も祈る