・歩いて帰ろう・

記憶のための記録

【続編】
未発表作品(愕然)『バンドエイド・ブリッジ』の続編。
こちらを先に読んでも大丈夫なように、というのが今回最大の苦労だった。
とにかく続きが書きたかった。
一体何がどうしてこうなったのか。ただもう諒介を殴りたい。何を言っているのか判らない箇所は、そのまま読み流しましょう。(苦笑)


【由加】
空調がおかしいのは私のせい、といきなり言われてもーと思われた方、ごめんです。前作でこの人はもっとすごい事をやっていたんです。マシな方よ、ほんと。


【澤田】
新幹線ホームでの台詞のクサさが規定値を超えたのでギップルが出ました。仕方なく書き直しました。抑えながらも的を射た台詞を書けたのは、ひとえに直しの時点で私がアウトライン(由加の居ない所での言動)の殆どを書き上げていたからです。そこまで書かないとつかめない奴でした。


【諒介】
カレーパンは温めて食べる。もちろんヤマザキのだ。
いや、諒介に関しては、その、いろいろと思うところあって、どうも、言いにくい。
まあ、ね。うん。まいったな。(苦笑)


【ひとし君】
導入部のエピソードは以前思いついたのをノートに書き留めておいたもので、ここで使うとは(笑)。他作品の登場人物でもある。


【映画】
駅での見送りの時、ここで諒介がビデオカメラを構えたらと考えた。
「さよなら、さよなら俺!」「さよなら、さよならあたし!」by『転校生』。
夜中に声を殺して笑う自分がなさけなくなり、5秒後に脱力した。
映画の話を絡めるのもこのシリーズの楽しみだ。
残暑見舞いに書かれた映画は『毎日が夏休み』。金子修介監督、大好き。
ちなみに諒介のビデオのBGMは『リアリティ・バイツ』に使われていたLisa Loeb & Nine Storiesの"Stay"。


【Homeward】
実はこの話を半分まで書いた時に、ラストシーンの殆どは書けていた。ゴールが見えているのに途中は見えないという、迷路を歩くような感じだった。
結局、私自身が帰路を辿っていたという訳だ。
読んでくれてありがとう。あなたの帰路にやわらかな風が吹くように。

Mar. 31, 1998

【追記】
この作品は、執筆順・内容ともに「バンドエイド・ブリッジ」シリーズの二作目です。
ある事情でこの「ホームワード」を先に発表しました。後に「バンドエイド」を発表する前も、この物語は“第二話”となっていました。

第二部「ネスト・オブ・ウエスト」まで発表しておきながら、一度は執筆を断念したこのシリーズを再開するにあたって、二作品の順序を変更しました。
幸いな事に「バンドエイド」を読んでいなくても読めるように書いてあったし(笑)、何よりこのシリーズの雰囲気を決定づけたのはこの作品でした。

物語の時間が前後してしまいましたが、このシリーズの空気を読者の皆様に伝えたくて、改めてこの物語を第一話に決めました。
内容的には「シリーズ全部を読まなくてもホームワードだけ読めばいい(爆)」というくらいの作品に仕上がっています。

この物語で、由加達と出逢って欲しくて。
読んでくれてありがとう。もう一度、はじめから。

2000.8.27

【2011年度版アトガキ】
ここまでお読みくださった皆様、ありがとうございます。
筆者の代表作である「バンドエイド・ブリッジ」第1話をお届けしました。

この作品を再掲載するにあたり、体調を崩すなど、不安な点もありました。
この物語の舞台は執筆時、つまり1998年頃という設定になっています。だから小道具や背景の描写なども古いですし、今更この作品を出してどうなる、という思いも無かった訳ではありません。

1つには「この作品を通さないと発表できない作品が多々ある」。
もう1つには「由加、澤田、諒介の3人とまた出逢って欲しい」という思いがありました。

彼らは筆者とほぼ同い年という設定になっています。ですから、今回読み返してみて彼らが私と共に年齢を重ね、もう一度発表することは、彼らが過去を「振り返る」ということでもあります。
今、彼らと共に「振り返った」とき、思わず爆笑しちゃった表紙絵ですとか、物語の主要なシーンで「この時は迷っていたね」と再確認したこととか、正直、打ち切るように完結させた時の辛さは、今となっては思い出になり、遠くできらきらしているような、……うん、つまり、ね。
物語の形で昇華させることに成功し、当時の思いを全てぶつけて表現出来た充足感が、ちゃんとある、ということです。
自信作と呼ぶにはあまりに拙く、けれども、「書いてた私も若かった!」と(笑)やっと笑って振り返ることが出来る、そこまで来れたことを彼らに感謝しています。
彼らでなければ、この喜びはなかったと思います。

誰にともなく、ありがとうと言いたい気持ちです。
おそらく私や作品と関わってくださった全ての方に。
私の作品の中では最も幸福な作品なのではないか、と思います。多くの方に愛され、励ましをいただき、彼らの味方となってくださったこと、私は生涯忘れません。
ありがとう。この物語は私の宝物です。

佐倉蒼葉 2011.3.9

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